9月19日「桃居」さんで「赤木明登 漆展」

2014年9月19日(金)~9月23日(火) 11:00~19:00

いまから30年ほど前、初めて角偉三郎の器を見たときの衝撃が記憶から消えない。
物であるはずの器が、生命を吹き込まれながらも、沈思黙考。胡座をかいてドカンと座っていたのだ。その力にひきよせられて、ぼくは能登に渡り、漆の人となった。
ひととおりの職人修行を終えて、さて自分の作を行う段になって、敬愛してやまない角さんから離れざるをえなくなった。離れなければ、ぼくはぼくになれなかった。 ぼくはぼくのもの作りができなかったのだ。 21年前、ここ桃居での初個展から、ずっとぼくは角さん的なものを自分の中に封印してきたが、今回改めてその封を解き、角さんと向き合うことにした。もちろんそれは現時点では全く不可能なのだが、これから10年、20年をかけて、角さんを超えていかなければならないだろうという野望のためである。輪島で仕事を始めて四半世紀を超える時が経ち、ようやくぼくは準備体操を終えて、本格的修行の、つまり我自身との闘争のスタートラインに立つことができた気がする。

桃居
〒106-0031 東京都港区西麻布2-25-13 tel.03-3797-4494
www.toukyo.com